どうも、ぱぱをです。

前回は幼稚園〜高校までの学費について、まとめましたが、今回は第二弾ということで高校卒業後の専門学校・大学の学費についてまとめました。

第一弾→子供の学費っていくらかかる?(幼稚園〜高校編)
第三段→子供の学費、何で貯める?保険のあれこれ

高校卒業後に、子どもがどの方向に進むのかまで想定して子供の学費を貯めるというのはなかなか難しいと思います。

なので、まずはどの方向に行く場合にどの程度お金がかかるのかを知っておくことだけで、なんとなく将来これくらい必要になるんだなという想像がつくようになります。

なるべくなら子供の希望は叶えてやりたいというのが親心だと思いますので、覚悟を決めておくという意味でも、早いうちから必要な学費を知っておくということは重要だと思います。

あとでも書きますが、高校卒業後、大学に進学するのは54.7%、専門学校に進学するのは16.4%と、合わせて約70%の子どもが進学を選びます。

数字を追っていったらかなり長くなってしまったので、結論から先に書いていきます。

興味がある方はその後の、それぞれのパターンでかかる費用や計算の仕方の方も読んでみてください。

子どもが高校卒業するまでに貯めておきたい目標額は…

結論を先に書くと、目標額は500万円です。

これからなぜ500万円なのか、まずは簡単に説明していきます。

高校卒業後、半分は大学へ

高校を卒業した後の進路は、

という感じなっています(文部科学省 令和元年度学校基本調査)。

半分以上は大学に行くので、特に理由がなければ、大学を想定して学費を貯めておくのが良さそうです。

大学進学者のうち、7割は私立大学

大学に進学した人のうち、国公立大学に行った人と私立大学に行った人の比率は、

こんな感じになっています(文部科学省 私立学校の振興)。

大学進学者のうち、7割以上は私立大学に進学しています。

そして私立大学の場合、自宅から通う学生が64.7%となっています(日本学生支援機構 平成28年度学生生活調査結果)。

私立大学に自宅から通う想定で貯める

さらに、私立大学の大半は4年制で、大学院に進学するのは10人に1人位の割合です(文部科学省 大学院の現状を示す 基本的なデータ)。

したがって、想定するモデルケースとしては、

私立大学に4年間自宅から通わせる

です。

500万で70%の場合は足りる

この想定でいけば、一人あたり500万円を大学入学前に貯めておければ、70%くらいの確率で学費をカバーできます(70%の算出方法は記事を最後まで読んで頂ければわかります)。

ただし、その前提として、

  • 在学中に月約2万円を別途学費として、親が確保する
  • 年間約40万円をバイトや奨学金で、本人が確保する

が必要になります。

これができれば、4年間で

600万の学費+年間約40万の生活費

を確保できます。

私立大理科系の学費の平均は約580万で、自宅通いの場合の生活費の平均が約40万円なので、私立大学の理科系に自宅通いさせるということが見えてきます。

もちろん、通える範囲に大学がないという場合もあると思います。

そういう場合は、年間プラス80万、つまりプラス320万した820万の目標額を設定する必要があります(一人暮らしの場合の奨学金は8万程度に設定されているので、それを利用すれば160万のプラスで、660万でも良いかもしれません)。

大学進学が前提なら500万で足りる可能性は約50%

ただし、70%という数字はあくまで、自分の子供が大学に行くかもしれないし、そうじゃないかもしれないという前提のもとにはじき出した数字です

仮に大学入学を前提とすると、500万で足りる可能性は約50%になり、大幅に数字が下がります

大学進学が前提なら660万で足りる可能性が約85%

なので、大学進学を前提に考える場合、一人暮らしのパターンをカバーするために、500万に160万(奨学金追加パターン)〜320万(奨学金なしパターン)をプラスして貯めることで

つまり、最低660万円貯められれば、大学進学が前提の場合でも約85%の確率でカバーできると考えられます(ちなみに大学進学を前提にしなければ、約92%の確率でカバーできます)。

一応計算式はこちら(最後まで読めばわかります)

→ 100% − 7.8%(大学院 or 医歯薬系) ÷ 54.7%(大学進学率) = 約85.7%

目標額に全然届きそうにない場合

とはいえ、500万、あるいは通える範囲に大学がなければ660万〜820万程度を子供一人につき貯めるというのは簡単ではありません。

母子家庭の場合なんかはかなり難しい家庭も多いと思います。

そのような場合に利用できる制度が大学には色々とあります。

●スカラシップ入試

私立大学に多いですが、入学時に成績優秀等の条件を満たせば4年間の学費が免除されたり、一定額の給付が受けられたり、という制度があります。

●授業料の減免

国公立大学も含めて、経済的に裕福でなく、成績も一定以上であれば、授業料が全額免除、あるいは半額免除される制度があります。

●大学の寮

一人暮らしでアパートを借りるとなると、ひと月3〜6万程度かかりますが、大学の寮であれば、ひと月1万円以下で入れるものもあります。

●給付型の奨学金

これも私立大学の方が多いですが、在学中の成績が優秀な場合、一定額の給付型奨学金(返済不要)をもらえる場合があります。

●貸与型の奨学金

日本学生支援機構の奨学金が有名ですが、大学独自のものや地域独自のものなど、様々な奨学金制度があり、月4〜9万程度借りることができます(無利子のものと有利子のものがあります)。

いずれにせよ早く貯めはじめるのが大事

貯めはじめるのが遅くなればなるほど、毎月貯めなければならない額は大きくなるため、少額でもよいから早く貯めはじめることが重要です

いつから、どれくらいのペースで貯めればよいのか、どうやって貯めるのがよいのか、という点については、次回以降の記事でまとめていきたいと思います。

では、ここからは、計算の根拠となったそれぞれのパターンの学費や計算の仕方について書いていきます。

専門学校の学費

専門学校には国公立と私立があり、学費が大きく違います。

ただし、国公立は196校なのに対し、私立は2942校と、9割以上を私立の専門学校が占めています(文部科学省 令和元年度学校基本調査)。

国公立専門学校の学費

国公立の専門学校の1年間の学費はこんな感じです(まとまっている情報が見当たらなかったため、いくつかの専門学校の費用を参考にしています)。


初年度費用2年目費用
国立80〜100万円程度40〜70万円程度
公立50〜70万円程度30万円程度

私立に比べるとかなり安めですが、国公立の専門学校のほとんどは看護学校です。

看護学校は3年制が普通ですので、3年間の学費の合計費用は


学費合計
国立3年間160〜240万円程度
公立3年間110〜130万円程度

となります。

私立専門学校の学費

私立専門学校の学費については、国が作成している資料はないため、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会のサイトで出されている数字を元に計算しています。

数字は東京都内の私立専門学校の数値を平均したものになっています。

各分野の専門学校における初年度の費用と2年目の費用は以下のようになっています(千円以下は四捨五入)。


初年度費用2年目費用
工業関係120〜146万円104〜121万円
農業関係128万円110万円
医療関係96〜177万円78〜143万円
衛生関係130〜172万円118〜156万円
教育・
社会福祉関係
86〜119万円74〜106万円
商業実務関係103〜125万円87〜112万円
服飾・
家政関係
108万円90万円
文化・
教養関係
93〜136万円84〜119万円

(単位:万円)

医療関係の学費はかなり上下の差が大きいですが、下は看護師の費用で、上は作業療法・理学療法の費用になっています。

ちなみに専門学校は2年制のところが多いですが、1〜4年制まであるようです。

全分野の専門学校の初年度費用の平均は約125万円で、入学金の平均は18万円なので、それぞれの場合の学費合計の平均は、


学費合計
1年制125万円
2年制232万円
3年制339万円
4年制456万円

となります。

大学の学費

大学も知っての通り、国公立と私立があり、学費がかなり違います。

国公立大学の学費

国公立大学の初年度と2年目以降の学費の平均は、


初年度2年目以降
国立81万7800円53万5800円
公立(地域内)76万6785円53万7878円
公立(地域外)90万2605円53万7878円

となっています(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令文部科学省 平成30年度学生納付金調査結果)。

公立大学は地域内と地域外で入学金が異なるため、初年度費用がそれぞれ異なっています。

短大、4年制大学、医歯薬系の6年制大学について合計すると、


2年制4年制6年制
国立135万3600円242万5200円349万6800円
公立(地域内)130万4663円238万419円345万6175円
公立(地域外)144万483円251万6239円359万1995円

となります。

ただし、大学や学部等によっては施設費や実習費がかかる場合もあります。

私立大学の学費

私立大学・私立短期大学の学費は総じて国公立よりも高めになっています。

私立短期大学

私立の短期大学の初年度と2年目の学費の平均は、

初年度2年目
127万915円102万9079円

となっています(文部科学省 平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について)。

私立大学(4年制・6年制)

私立大の場合、大学や文系・理系・医歯薬系等でそれぞれ金額がかなり異なっており、初年度と2年目以降の学費の平均は、


初年度2年目以降
文科系125万1039円101万9228円
理科系166万7945円141万3636円
医歯系641万2854円533万9771円

となっています(文部科学省 平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について)。

私立短期大学・私立大学の学費合計

そして、私立の短期大学、4年制大学、6年制大学の合計の学費の平均を分野別にまとめると、


2年制4年制6年制
短期229万9994円
文科系431万4165円
理科系590万8853円873万6125円
医歯系2243万2167円3311万1709円

となります。

短大、文科系に比べて理科系の方が高く、医歯系は桁が一つ違います。

その点、国公立は医歯系も一年間の授業料は変わりませんので、競争率がとても高くなります。

大学院の学費

次に国公立と私立の大学院の学費です。

国公立大学院の学費

国立大学院の初年度と2年目以降の学費は、

初年度2年目以降
81万7800円53万5800円

となっています(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令文部科学省 平成30年度学生納付金調査結果)。

公立大学については資料がなかったため、割愛させてもらいますが、基本的には、国立大学の費用と大きくは違わないと思います。

また、専門職大学院は数が少ないため、割愛させてもらいます。

博士課程前期(修士)は2年間で、博士課程後期は3年間が一般的なので、上記の金額を元にそれぞれの場合の費用を計算すると

博士課程前期(修士)のみ博士課程後期まで
135万3600円296万1000円

なお、博士課程後期は前期の大学と同じ大学の大学院に行くことが多いため、博士課程後期までの学費には入学金を一回分しか入れていません。

私立大学院の学費

私立大学院の初年度と2年目以降の学費について、全分野の平均は、


初年度2年目以降
博士課程前期104万1456円83万4164円
博士課程後期85万8093円65万9990円

となっています(文部科学省 私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について)。

博士課程前期(修士)は2年間で、博士課程後期は3年間が一般的なので、上記の金額を元にそれぞれの場合の費用を計算すると、


博士課程前期(修士)のみ博士課程後期まで
私立大学院187万5620円385万5590円

となります。

国立大学院の学費の計算と同様に、博士課程後期までの学費には入学金を一回分しか入れていません。

学費以外の費用は一人暮らしがポイント

ここまで学費について書いてきましたが、大学生にもなると、生活するのにかかる費用は学費だけではありません。

一人暮らしをするようになれば、住居費・食費・光熱費等が別途かかるようになりますし(もちろん食費・光熱費は自宅通いでもかかりますが)、その他のサークル活動や友達付き合い等でもお金がかかります。

日本学生支援機構の平成28年度学生生活調査結果 によれば、学費以外の生活費(住居費等も含む)として一年間で使っている金額の平均は、

一人暮らし自宅通学
国立110万1000円44万7600円
公立122万8200円43万9800円
私立113万1600円39万8500円

となっており、一人暮らしか田舎で年間70〜80万円違ってきます。

一人暮らしで国立大学に通った場合と自宅通学で私立に通った場合では、国立大学の方が年間80万円も余計にかかることになります。

授業料の安さを差し引いても、自宅から私立に通わせるほうが、一人暮らしで遠くの国立大学に行かせるよりも安くすむ場合が多そうです。

大学生の収入のうち親の金は6割

学費以外にもさらにお金がかかるのか…と思ったかもしれませんが、大学生にもなれば、バイトをする人が多いですし、奨学金を借りる人も多いです。

日本学生支援機構の平成28年度学生生活調査結果 によれば、学生の収入は学費にあてる分も含めて平均196万6000円ですが、そのうち40%近くはバイトや奨学金が占めています。

なので、すべての費用を親が負担しなければならない、と肩肘をはる必要はなさそうです。

500万で70%カバーできる理由

なぜ、「私立大学に4年間自宅から通わせる」想定をしておけば70%くらいの確率で学費が足りるかを説明します(興味ない人は読み飛ばしてください)。

カバーできるパターン

まず、高校卒業後の進路で大学に進むのは54.7%で、それ以外の専門学校、就職、その他の場合は基本的に、大学に通わせるよりも学費が安く済むか、あるいはかかりません(専門学校のほとんどは2年か3年で済むため)。

①なので、残りの45.3%はカバーできると考えます。

カバーできないパターン

●大学院まで進学するパターン

大学院まで進んだ場合は、2年分追加で学費がかかるので、カバーできません。

そして、大学院まで進むのは大学入学者のうち約11%なので、大学進学者の54.7%の11%、つまり、②約6%はカバーできません。

●6年制の学科に進学するパターン

医学部医学科、歯学部歯学科、6年制の薬学部薬学科に進学した場合も、2年分追加で学費がかかるので、カバーできません。

そして、3つの学科の定員を合わせると、約2万3500人で、学士課程の全入学者65万人のうちの、③約2%を占めます。

●一人暮らしするパターン

さらに、一人暮らしをした場合も、年間約80万追加でかかることになるので、カバーできません。

一人暮らしと自宅通学の割合は、


一人暮らし自宅通学
国立大学68.1%31.9%
公立大学59.9%40.1%
私立大学35.3%64.7%

で、国公立大学と私立大学に進学する生徒の割合は、

国立大学21.5%
公立大学4.9%
私立大学73.6%

となっているので(日本学生支援機構 平成28年度学生生活調査結果)、それぞれ一人暮らしする割合は、全体のうち、

  国立:56% × 21.5% × 68.1% = 約8.2%

  公立:56% × 4.9% × 59.9% = 約1.6%

  私立:56% × 73.6% × 35.3% = 約14.5%

となります(④)。

重複分を除いて合算

まず、カバーできないパターンは、一人暮らしで大学院に進学するパターンや医歯薬系で大学院まで進学するパターンを重複してカウントしているので、重複を除くと、②③④から

大学院まで進学するパターン約6%
6年制の学科に進学するパターン約1.8%
一人暮らしするパターン(国立)約7.3%
一人暮らしするパターン(公立)約1.4%
一人暮らしするパターン(私立)約12.9%
 合計約29.4%(⑤)

となります。

したがって、

45.3%(①) + (54.7% − 29.4%(⑤)) = 70.6%

で、70%くらいの確率で足りるだろうという計算です。

ただし、計算の基礎としてしているデータがすべて同じ年度ではなかったり、大学院に進学する11%という数値も、実際には学部による偏りがあるので、多少のずれはあると思います。

また、あくまで平均値を使って計算しているので、それより高い学費になるところも当然あり、厳密な意味で70%を完全にカバーしているわけではありません。

ただ、大体70%くらいの所に収束するだろうとは言えるのではないかと思います。

ということで、次回は、「どうやって貯めるのがよいのか」について書いていきたいと思います。

子供の学費っていくらかかる?(幼稚園〜高校編)
子供の学費、何で貯める?保険のあれこれ